31年目へ。


3月17日と18日の二日間。エレファントカシマシ30th ANNIVERSARY TOUR"THE FIGHTING MAN"のファイナルコンサートに行って来ました。いや、"立ち会った"とあえて言わせてください。

この1年で新たなファンが増え、余裕かまして取れていたチケットもファンクラブに入っていたって入手困難。

売れたなぁ。。。

それは眩しいほどの光景だけれど、ちょっと寂しい気持ちもある。
とはいえ。長く彼らの音楽と対峙してきたという歴史は、どんなにエレファントカシマシが売れっ子になろうが。宮本浩次がアイドル化してようが変わらない。この熱病のようなフェスティバルシーズンを、あんな時もあったね。と、懐かしく思い出すことはあっても、初めて奴隷天国を聞いたあの頃と、きっとあたしの体温は変わらない。そんなことを改めて思ったファイナルだった。

エレファントカシマシはあたしにとって"手のかかる友達"だ。社会の波に揉まれ、憤りの中に諦めや許容、受容とかを自然に身につけ、こんなものか。。。と生温い環境に身を置いて日々をなんとなく過ごすことが世間なら。エレファントカシマシはいつだって不条理なことに疑問や怒りを投げかけ、答えを求めてきたような気がする。その破滅的で刹那的な世界は、どこまでも美しくてセンシティブで。軽自動車にフェラーリのエンジンを搭載したような宮本浩次はいつだって危うげだった。その危うげなところを、ファンという友だちがいつだって支えてきた。今も、これからも。

さてさて。3月17日のファイナルに話を戻しましょう。
あのどでかいさいたまスーパーアリーナがsold out。

売れたなぁ。。。

声がね、とてものびのびとしていた。このお祝いを心から楽しんでいる様子が微笑ましかった。わたしの中で、バンド史上初の47都道府県をまわり切ったことで、30thANNIVERSARY TOURは一区切りが付いていたせいか、あれこれ思うものはあっても、いつもの彼ららしい"ムラ"が垣間見えたことが嬉しかった。ああ、そうよね。それがエレファントカシマシよね。と、昔を思い出して少しだけ笑っちゃった。そして、不完全な部分に心底ホッとした。

ああ。でも。"さらば青春"はさすがにぐっときたなぁ。ああ、この場面で、こんな会場で歌っちゃうのね。ばかやろー、宮本浩次。ありがとう宮本浩次。
古いファンはね、きっと同じこと思ったんじゃないかな。


翌日、エレファントカシマシ、Spitz、Mr.Childrenと、とんでもない豪華な共演コンサートがあった。エレファントカシマシの30thのお祝いに、日本の音楽シーンを代表する2つのバンドが駆けつけた!という趣旨で開催が決定したらしい。

これってかなり凄いこと。知ったときは身震いした。

Spitzの「春の歌」から始まったコンサート。まだ肌寒い日だったけど、あの瞬間、春がやってきた。たまアリがピンク色に染まった。同じ桜ソングでも、前日のワンマンファイナルの"桜の花、舞い上がる道を"とは全然違って。どちらもとても優しくて力強くて大好き。
ああ、あたしったら春を待っていたんだなぁ。。。

「浮雲男」をカバーしたSpitz。あーた、やっぱりゴリゴリのエレカシファンなのね!宮本さんはタバコをやめて以来、あんまり歌わなくなっちゃったから久しぶりに聴くことができて嬉しかった。

そしてMr.Children。言わずと知れたモンスターバンド。昨年のapbankでも思ったけど、彼らのすごさって、一瞬でミスチルワールドに持ってかれちゃうってこと。一応、主役はエレファントカシマシだし、オーディエンスもエレカシファンが多かったんだけど、イノセントワールドとかHANABIを観客に歌わせちゃった!そして歌えちゃうんだもんね。これがMr.Children。その本気がきっと、エレファントカシマシは嬉しかったと思う。こりゃ、宮本さん悔しいんじゃないの?って思ったのはあたしの浅はかさ。本気で勝負してきた"ライバル"たちに、心から感謝していたと今なら思う。そう思える。そして、それぞれが目指すべき場所が明確になったんじゃないかな。セールス(数字)だけを追うんじゃなくて、"音楽"という大きな世界にいる戦友たち。これは本当に夢の共演なんだ。
だからね、それぞれのバンドを比較してやれこっちが好きとか嫌いとか、そういう感情はこの日だけはナシでいい。そもそも"比較"なんてするべきじゃないから。比較するものではないから。


Mr.Childrenがカバーしたのは"太陽ギラギラ"。渋いぜ、桜井さん!あーたもマサムネさん同様、本気のエレカシファンなのねぇ。。。

宮本さんもそうだけど、実力のある人がカバーをすると、その人の楽曲になっちゃうこと。原曲が霞むほどにね。あの日の"太陽ギラギラ"は、Mr.Childrenの歌になってた。アレンジが超絶かっこいい。エモーショナルで、サイケデリックで。こりゃ桜井さん、相当練習したね。。。隣で聴いていたミスチルファンの夫は、鳥肌が立ったと目頭を熱くしていたっけ。うん。すごいね。今日に立ち会えてよかったね。

"名もなき詩"の前にほんのワンフレーズだけ、桜井さんが歌った"やさしさ"。あれは、ポプコンのオーディションのエピソードにかけての桜井さんなりのサプライズ。エレファントカシマシが今の4人になって、初めて臨んだコンテストで披露した"やさしさ"。いまでもライブで歌われる大切な曲を桜井さんが歌ったことで、「なんでやねん!」と思ったエレカシファンも少なからずいたようだ。

が、しかし。んなことはどーでもいい。同じ時代、アマチュアバンドとして同じコンテストに出ていた2つのバンド。当時のMr.Childrenは最終選考まで残るも優勝はできず。エレファントカシマシはその数年前に"やさしさ"で華々しい成績を残していた。比べることじゃない。そんなの愚の骨頂。あの、たったワンフレーズの"やさしさ"は、Mr.Childrenからエレファントカシマシへの最大限の賛辞だったと思う。


満を持して登場したわれらがエレファントカシマシ。あはは。宮本さん、緊張されてますね?前日のファイナルと同じ、一曲目は"RAINBOW"。

覚えていますか?宮本浩次が耳の病気による活動休止期間を乗り越えて発表したこの曲の偉大さ。50歳でこれを歌い上げる、作り上げる男気に涙したファンもきっと多いはず。彼らはずっとファインティングマンだったんだ。今までも、これからもずっと、正義を気取ったファインティングマン。気取ったっていい。上っ面でもいい。信じて続けていくことで、それは本当の正義になって、ヒーローになるんだね。

新曲"Easy Go"は、そんな"RAINBOW"を彷彿させるパンクロック感があってめっさかっこいい。タイアップありきとはいえ、ここに宮本浩次あり!という、彼のロックな魂の真骨頂なんじゃないかなって思った。

アンコール、3バンドが登場。"ファインティングマン"をエレファントカシマシとSpitzが演奏し、宮本さんとマサムネさんと桜井さんがマイクリレーで歌った。Mr.Childrenの他のメンバーは踊った。ジェンは自由だった。。。いいのよ、ジェン。あなたはいつだってあなたらしく。

嬉しくて恥ずかしくて照れくさい宮本さんのわちゃわちゃしたMC。本当に嬉しかったんだね。かつて、ライブハウスで毒吐きまくっていたあなたのことも大好きだけど、今、喜びを全身で表現しているあなたもまた、最高のファインティングマンだよ。


ねぇ、まちゃりん見てる?あなたの大好きな二人が肩組んで歌ってるよ。

夫、泣くな!いや、あたしも泣いてるじゃん。
あんなステージの夢のような光景、一生忘れない。

そして。旅は続く。
31年目はもう、はじまっている
手のかかる友だちは、いつの間にかわたしの想像をはるかえに超え、置いてきたはずの情熱を再び呼び戻してくれた。

"何やってんだよ、おいてくぞっ"

そんなふうに叱られたような、そして、間違ってなかったって言ってもらえたような、そんな30thだった。

2018.03.17
Re; Start from here,
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with all you,
everybody

31年目が、はっじまるよ〜!!!!









旅の記憶。

年齢を重ねることで得た少しの自由。大人女性よ、 今こそ旅に出よう。 世界にひとりで向き合うことは決して孤独なんかじゃない。 「旅の記憶」は個人旅行の手配やノウハウを綴る、女性による女性のためのひとり旅応援サイトです。